〜5の2〜
今日は学校がPTAで2時までしかない!! 何て素晴らしいんだろうか!? さぁて…何しようかな?
 「マコト〜」
『ん? なんだよ‥シュウイチ? いや…プレーンヨーグルト?』
「そ‥その名前で呼ばないでよ…」
『ああ‥わかった! んで‥何だよ?』
「今日遅刻しただろ? その罰として、先生が正門の掃除しろって」
『ぬわぁにぃぃぃ!? そ‥それは本当か、プレ…シュウイチ?』
「うん。残念ながらね‥」
…なんてこったい! こんな秋晴れの遊び日和に掃除!? なんたる屈辱!
「おーい…リアクション大き過ぎるよ。ま‥そういう事だから、頑張ってね」
『あ‥おい!! シュウイチ! お前は友人を見捨てて行くのか?』
「僕だって‥心を鬼にして言ってるんだ。第一、悪いのはマコトだろ?」
『ぐっ…』
「おっと…もうこんな時間か。じゃ‥行くね。また明日」
……ちくしょう。アイツ‥あんな事言いながら、終始半笑いだったぞ? むかつくなぁ…。はぁ…仕方ないや、行こう。

〜正門にて〜
うわ‥汚いなぁ。これ全部俺一人でやるのかよ…。めんどくさいなぁ…。
“サッ‥サッ‥サッサッ…”
秋だなぁ‥落ち葉ばっかだ。焚き火したいね。焚き火。
「こんにちは」
『!? こ‥こんにちは!!』
「一人で掃除してるの? 偉いねぇ」
『あ‥ありがとうございます!!』
「大変だろうけど‥頑張ってね」
『ハイ!!』
…PTAの人かな? ヤバい‥やる気出てきた。今なら全てをそつなくこなせる気がするよ!
『よーし! バッチこ〜い!!』
《この後、マコトは凄まじい勢いで掃除をしますが、関係無いので割愛します。》
『よーし‥終わったぞ〜! ふぅ…自分で自分を褒めてあげたいね!』
「おっ…終わったか。随分キレイにしたな。偉い偉い‥よし! 帰っていいぞ」
『よっしゃあ! 先生、さよなら〜!』
「もう遅刻するんじゃないぞ〜!!」
『はぁ〜い!!』
…イィィャッホォウ!! 俺は自由を勝ち取った! 清々しいぜ! 足取りも軽い軽い♪
ところで‥今何時だ? 学校の見れば良かったな…。いいや! 今からでも遅くはない、めいっぱい遊ぶぞぉ!!
「何‥道の真ん中で両手上げてんだ? お前」
『!? おぉっ、誰かと思えばトウマじゃないか! どっか行くの?』
「ん? チアキの家だけど?」
チアキの家か……。俺も行こうかな?
「おっと…一緒に行く友達待たしてるから、またな!」
『あ? ああ…』
…アイツ、足早いなぁ。もう見えないや…………よし! 決めた! 俺もチアキの家に乗り込むぞ!!
そうと決めたら、いざ行かん我が家へ!!

〜マコト家〜
『ただいまぁ〜!! …誰もいないよな? OK‥早速、姉ちゃんの部屋へ…っと』
“ガチャッ…キィィィ…バタン!”
忍びの基本は…あれ? ええと…『安い、早い、うまい』だっけ?
いやいやいや、それは置いといてだな……おっしゃ、落ち着けマコト! ハルカさんが待ってるぞ?
“ガタガタガタッ…ガサガサ‥ゴソゴソ…”
上着はこれと…これで…下はこれでいいや。よーし! 待ってろよ!! チェンジ!マコちゃんモード!!!
[説明しよう! マコトは10分をヘアスタイルを整える時間に費やす事で、マコちゃんに変身出来るのだ!!]
『な…なんていじらしいんだ、俺? いつもの溢れるダンディズムが嘘のようだ…』
えへっ♪………ヤバい。ポーズが決まり過ぎた。まさに完璧! チアキやハルカさんが気づかないのも無理ないや!
まったく…俺ったら、罪作りな男だぜ…。よーし、マコちゃんいっきま〜す!!

〜みなみけまでの道〜
もう夕焼けか…最近夜になるの早いなぁ。冬が近いのかもな……さぶっ…。
「あら‥マコちゃん?」
…!? こ、この声はまさか!!
「どうしたの? そんな驚いた顔して」
やっぱり…ハルカすわぁん!
「こんな時間にどこか行くの?」
『いや‥これから丁度お宅におじゃましようかと…』
「あっ‥そうなんだ。今日チアキが友達とパジャマパーティーするって
  言うから、ご飯たくさん作る予定なの。良かったら、夕飯ご一緒しない?」
ああ‥トウマはだから急いでたんだ…。
「…どうかしら?」
『あ!? え、ええ!! ぜひ! ぜひご一緒させていただきます!』
「そう…よかったぁ。特売日だったから、ついつい買いすぎちゃったのよね…」
『よかったら、手伝いましょうか? 荷物持ちくらいしますよ!!』
「わぁ‥良いの? 助かるわぁ‥ありがと♪」
『お礼を言われるだなんてそんな…』
よっしゃぁぁぁぁぁあ!! ポイントアーーーップ!! ここで男らしいところを……あ。
 俺…今、マコちゃんだ。いくら良いところ見せても無駄じゃんか…。
「じゃあ…ごめんね、これ…」
『あ…はい。よっと…』
……お、重っ!? 何入ってんだよ、この中身!!
 「あ、もしかして重かった? ごめんね? 無理しなくて良いから…」
『ぜ、全然大丈夫です! 平気です!』
 「‥ホント? なら、お願いね?」
『…は‥はい!』
 やせ我慢し過ぎたっ! 指千切れる! マジ千切れる!! 痛い痛い痛い痛い痛い!!
「ほ…本当に大丈夫? 持とうか?」
『大丈夫です! やれます! やらせて下さい!!』
「そ‥そう?」
片手で持とうとするから痛いんだ…両手でいこう。‥おっ? 全然痛くない! これなら平気だ♪
 「今日はお料理大変そうね…カナだけで大丈夫かしら?」
『…また、むやみやたらにがんばろうとしてるんじゃ?』
 「ふふっ…そうかも。カナったら、チアキの事なのに自分の事みたいに張り切っちゃって…」
『でも、そこが‥』
「そう…あの子の良いところなのよね」

《「…へ…へっくし!」
「どうしたバカ野郎? バカは風邪を引かないのではないのか?」
「チアキ…またお前は人を見下して‥許さん! おい、お前たちやっちまいな!!」
  「「「「「お〜う!!」」」」」
  「!? なっ! ば‥バカっ…よせ!!」》

『…やっと着いた』
「マコちゃんお疲れ様。手伝ってくれたお礼に、後でプリンあげるわね」
『あ‥ありがとうございます!!!』
ハルカさん‥なんて優しいんだ! まるで女神!! いや、女神の生まれ変わり!!
「外からなのにすっかり賑やかね‥もう…カナったら一体何してるのよ!?」
『はしゃいでるんでしょ…きっと』
「まったく…注意しなきゃ」
“ガチャガチャ…カチャン……ギィィィ…”
「ただい……!!」
『おじゃ……!!』
 …な‥なんだ……ありゃ?

「!! た‥助けて下さい、ハルカ姉さまぁ〜〜〜〜!!」
「それそれそれぇ〜〜」
「抵抗なんかさせないよ♪」
「チアキちゃん‥かくご〜!」
「こら! 動くんじゃねえ!!」
「…………カナ? 事情を説明して」
「えーと…私と内田達でチアキを羽交い締めして、コチョコチョの刑を執行してるとこ…」
「そんなの見ればわかるわよ! 何でそんなことしてるのって聞いてるの!!」
「ね‥姉さま…たすっ‥ふふっ! 止め‥ひひゃっ!!」
「‥おおう!? みんな! チアキが笑ったぞ? これは歴史的快挙だ!!」
「カ〜ナ!! 止めなさい! チアキも嫌がってるでしょう!?」
「…はぁい…みんな聞いての通りだ。罪人を解放しろ」
「「「「「はーーーい」」」」」
「ぜぇ‥ぜぇ…まったく…ヒドい目にあった…」
「‥これに懲りたら、今度から言葉遣いに気をつけな!!」
「カナ…それ以上図に乗るとご飯抜きだからね?」
「!? そ‥そんなぁ……!」
『ハハッ…子どもっぽいなあ……がっ!』
「……暴言を吐いたのは、この口か? おい、マコちゃんよぉ?」
『…ずびばぜんべびば…』
「ったく…」
本気で引っ張りやがった…ほっぺ伸びたら泣くぞ……って!?
 [内田は俺を部屋の隅に引っ張り込むと、おもむろにひそひそ話を始めてきた]
「ちょっと! マコト君、何しに来てるのよ?」
『お‥おい!! 今はマコちゃんって呼べって! 吉野達がいるだろ?』
「あ…ゴホン。と‥ともかく、何で来たの?」
『いや……暇だったからハルカさんに会いに来た』
「何でこう…タイミング悪いのかなぁ…? はぁ……仕方ない。邪魔はしないでよ?」
『…邪魔? なんだよ、それ』
「いいから! ね? 約束!!」
『あ‥ああ…』
 “…トン”
「…おい二人共、ジュースとコーラどっちが良い?」
「!? わ‥私はジュースで!」
『お‥あ! 私はコーラ!!』
「…何を焦っているんだ? まあいい」
今、チアキに怪しまれたな‥ゼッタイ。なんとかしてバレないようにしなきゃいけないな…。
「おい、マコちゃん。こっちこっち…」
? …カナ姉が手招きしてら。何だろ?
「…今日は見ての通り私と内田、それにトウマの三人しかお前の正体を知らん」
 …そりゃまあ、そうだ。
「もしバレたらゆゆしき事態になることうけあいだ。そこで、私たちは全力でお前をカバーする事にした」
‥そいつはありがたい! ぜひ、よろしく!
「トウマには後で言っておくから、気をつけろよ」
『了解!』
「よし、これにて作戦会議おひらき!」
《「あの三人‥何してんだろね〜〜〜」
 「ね〜〜」
「…どうせ、またカナの悪知恵かなんかだろ? …ん? 今度は俺が呼ばれてるのか?」
「「いってらっしゃーーーい」」》
早速‥トウマを呼んだか…流石カナ姉、仕事が早い!!
「マッコちゃ〜ん」
『…どうしたぁ?』
「トウマ抜けちゃたから、代わりにトランプしない?」
『‥するするーー!!』

〜ババ抜き中〜
「‥これかな? やったぁ! あ〜がり♪」
「吉野‥強いなぁ…」
「ホントだよ…私も早く…あ!? 終わったぁ〜」
「…ということは?」
「…ぐっ」
『ヤバい…』
「…カナとマコちゃんの一騎打ちだ!」 「おい……分かってるよな? 私は負けるのが、馬鹿にされるのと同じ位嫌いなんだ」
『ん、んなこと言われても…運じゃんか』
「う‥うるさい! しょ……勝負だ!!」
“シュパッ……”
「あ…」
『や‥やったあ〜〜〜〜〜!! 勝った! 勝った! あっぶねぇ〜!』
「く‥こら! い‥い気になるんじゃない!!」
『…だって勝ったもん!』
「……何を言っているんだ? 今のは練習だ! 本番はこれからだろ。なぁ…内田?」
 “…ギロリ!”
「…え!? あ‥そう! これからが本番!!」
『なっ…ひ、卑怯くさっ!!』
「ええい、黙れ黙れ!! 私の逆鱗に触れたお前には、文句を垂れる余裕など与え無いからな?」
 ……うわ。わかっちゃいるけど、超負けず嫌いだ…この人。
「‥おい、バカ野郎。盛り上がるのは勝手だが、声のトーンを落とせ」
 …おっ、チアキだ。ハルカさんの手伝い済んだのかな?
「なんだと? お前は試合中の広島ファンの応援にも同じようにうるさいと言えるのか?」
「…それとこれとは話が違…」
「いいや、違わないね!!」
「…お前は論点のすり替えをしている」
「何をバカな事を…これだからお子ちゃまは困るんだ」
「………」
“…ポコン!!”
「‥ぐあっ!?」
 !? ク、クマが飛んだ!!
「ふじおかが、私をこれ以上いじめるなと言っている」
「いたたたたた………」
おおっ……これが内田の言ってた『ふじおかアタック』か!!
 …人形は投げるもんじゃ無いけど、それはそれでアイツらしいか。ってか、なぜ『ふじおか』?
「くぅっ…2対1は卑怯だぞ!! ええい、こちらも助っ人内田を投入だ! ゆけい!」
「な、何でいつも私がっ!?」
「いいから、ほら」
 [ケンカする3人+1頭を眺める俺達5人]
「…ホント、こんな時はいつもあの子だね」
「ま…大人な私たちは、静観しとこうか?」
「異議なーーし」
「…あんな感情剥き出しのチアキちゃん、初めて見た…」
…ひょっとして、本来のチアキはこんな調子なのか?
「ひゃっ!! カナ、ふじおか強いよぉ〜!!」
「諦めるな! 諦めたら、そこから先には進めないんだぞ!!」
「いや、素直に諦めろよ…いい加減。私は疲れたぞ」
「内田! 聞いたか? 敵はパワーダウンしている! 今しか無い! いくぞ必殺b…」
………?? カナ姉ったら、どうしたんだ? 急に固まって……ああ、なるほど‥。
「…カ〜ナ? 暇があるなら手伝いなさい!」
「え‥あ、う…うん…」
 「まったく…」
“ドタッ‥バタドタ…”
ハルカさん‥殺気垂れ流してたね……怖っ。
「おーい、マコちゃん、皿運ぶの手伝ってくれぇい!」
…か…カナ姉ナイス!! 行くよ! 今すぐ飛んで行くよ!!
『は〜〜〜〜い!!!』
「マコちゃん張り切ってるね」
「アイツらしいな…」

〜食事終了後〜
 「チアキ〜、お風呂湧いてるからみんなと一緒に入ったら?」
 「え…でも…」
 「後片付けは心配しないで。私とカナ、それにマコちゃんもいるから」
「………それでは姉さま、一足先にお風呂に行ってきます」
 「ごゆっくり♪」
「それでは…みんな、用意はぃ…」
「「「「「おっけー」」」」」
「……準備周到だな。まぁ、そっちの方がありがたいが…」
[チアキ達6人は風呂場へ、俺やカナ姉、ハルカさんは洗い物]

 “ジャー…ジャバジャバ…”
「晩ごはん大好評だったねハルカ」
「ホント、作ったかいがあった」
『ハルカさんの作るものは何でも美味しいですよ!』
「あら‥ふふっ…嬉しいわぁ」
「こら、あんまり褒めるな。調子に乗るぞ?」
『いやいやカナ姉、アンタじゃあるまいし…』
「そうそう」
「…お前達は二人して私をコケにしてるのか? 終いにゃ泣くぞ」
「ごめんごめん。冗談だから‥ね?」
「まったく……あ!」
「!? 何? カナ、どうしたの?」
「朝ごはんも9人分か…お泊まりだし」
………あれ? 9人?
「そっか‥明日も大変だね」
 まさか……な?
『……ちょっと質問良い?』
「何? マコちゃん」
『お…わ、私も今日泊まるの?』
「え…泊まらないの?」
「そんなの親に電話すりゃ良いだろ? ほら、して来い」
『う…うん』
帰るのもめんどいし…泊まるか、今日は。よし!
 [電話の所へ駆け出す俺]
「まあ‥とりあえず、ハルカのもてなしはs……」
…レェーッツ! テレフォンターーイム!!
『あ‥もしもし、母さん? うん‥今、南の家。今日泊まってって良い?』
「…よけいなことじゃないよ!! もてなしだよ!!」
カナ姉うるせぇ…声が聞こえないよ。え? …………い、良いの?
『う‥うん! 分かった! は〜い、は〜い♪』
“ピッ…カチャッ…”
…女子8人と俺一人か。これは生まれて初めての体験だぁ!! なんか意識しちゃうな…。
「マコちゃんも牛乳飲む?」
『あ…はい!!』

〜リビングにて〜
「はい、これね」
“…コトン”
『あっ‥は、ハルカさんどうも…』
「どう致しまして。はい、これはカナの分」
「…にしても、あいつら6人でフロ入ってんの? そんな大浴場‥うちにあったか?」
「浴槽は‥無理すれば3人くらい入れる大きさだよね」
『でも、めっちゃ無理しなきゃ‥』
「そうだね…もう少しのんびり入れるおフロ場欲しいよね」
『ゆっくり足を伸ばして入れるような?』
「そうそう。だれが一番風呂か競争して」
『あ〜〜…楽しそう』
「でしょう?」
「…大きさ欲しい競争?」
『「ん?」』
「大きさ競争…大きさ欲しい……」
‥つ、ついにカナ姉…壊れたか?
「…ひらめいた!!」
『「わぁっ!?」』
「私のもてなしは、この牛乳だ!!」
‥な…なぜ!?
「やつらはこの牛乳を、ありがたく飲むことだろう!」
‥だから、なぜ!?
「ハルカ、マコちゃん、もてなしとはなんだ?」
‥え?
「心にくい気配りだ!!」
早っ!? カナ姉早いよ!
「考える暇を与えない……」
「私の心にくい気配りに、上手いことやつらを誘導しないと!!」
『…私たちは置いてきぼりですかね、ハルカさん?』
「‥みたい」
「そのためにも‥フロ場をたきつけてくる」
…どういうこった?
「…? おフロはたいてあるじゃない」
「いいからいいから。あっ…そうだ! マコちゃんも来な」
『え? あ…はい』
“トテトテ…”

〜お風呂場〜
『なぁ‥カナ姉、何で俺も?』
「まぁ‥これも、いわゆるもてなしだ。お前も一応、お客さまだからな」
『なるほど!』
カナ姉…すげぇ! 俺のことまでシッカリもてなすなんて!!
「さぁ‥ついたぞ。心の準備はいいな?」
『…何の?』
“ガチャ…”
……!!?
「あちゃー‥脱ぎっ放しかぁ…。マコちゃんには少々刺激的過ぎたかな?」
…し、刺激的とかそんなんレベルじゃねぇよ!! 困るだろ目のやり場に!!
「まったく…いったい誰のパンツだい、これは?」
…だ・か・ら!!
「…なんだい? そんなに顔を赤くしてから」
『あ‥赤くなんかないよ!』
「そうかそうか‥お前もやっぱ男の子だな。余りに予想通りの反応で、私は嬉しいよ」
『ひどいや…』
そうだよ! こんな格好してるけど、俺だって男だよ!!
 そりゃいきなり‥し、下着とか見たらこんな反応するに決まってるよ!!
 だ‥誰のかは知らないけどさ!! き…気にしてないぞ!?
「さて……私はこんな事をするためだけにここへ来た訳じゃないんだ」
なっ…何だよそれ!! …落ち着け! 落ち着くんだ!! 俺に焦りは似合わないぜ!
「えっと……あった! これで良し‥っと」
……ふぅ…ん? 石けんだ。何に使うんだろ?
 「おーい、新しい石けん使いな〜」
“ガチャ…”
「「「わっ!」」」
「「ひゃっ!」」
「‥いきなり開けるんじゃないよ、バカ野郎」
「まあまあ………おっ? お前なかなか…」
 ?? な、何がなかなかなのさ!?
「わぁ‥カナちゃんエッチ〜」
「見るなぁ〜!」
「やらしいおじさんがいるよ!!」
「へっへっへっ…」
「このスケベ! よ〜し‥トウマ、水かけちゃえ!」
 「おう!」
“ぱしゃっ‥ぱしゃっ…”
「わ‥こら、止めろ!」
ど‥どきどきが止まらないや! 体が熱い、すごく熱いよ!!
 なんかノドもヒリヒリしてるし…何か変だ、俺!
「ぬぅぅ…退却だ!」
「やった! トウマちゃんナイス!!」
「流石、1組の女番長!」
「あっ……待って! 何かニヤリとしてる…」
「ふふふ…よく気づいたな。褒めてつかわそう」
「‥みんな気をつけろ! あの表情の時のカナは、変なたくらみを持ってるぞ!!」
「ねぇ……チアキ?」
「へ、へらへらするな。気持ち悪い」
「…誰が一番大人なのかなぁ?」
「!?」
“‥バタン!”
「さぁ‥マコちゃん、戻ろうか?」
『あんた‥鬼だ』
「ふっ…今の私には最高のほめ言葉だよ」

〜再びリビングにて〜
 《「わぁー! キャー!」》
「フロ場をヒートアップさせてきた。心にくい牛乳を飲ませてやる」
『……なんて言うか』
「あの子達…かわいそう」
「…準備オッケイだ。さぁ‥私流のもてなしをとくと味わうがいい!!」
『もう‥止めらんないなぁ』
「‥カナの好きなようにやらせてあげましょう」

〜数分後〜
“ガチャ…”
…誰か出てきた! 内田か! …すげぇ顔色悪いけど、大丈夫か?
「おーー内田、トップで出てきたな。牛乳でもどうだ?」
「…いただきます」
「よしきた!」
“トパッ…ドポドポ…”
「そら‥内田、飲みな」
“ゴク‥ゴク‥”
‥いい飲みっぷりだ!!
「ぷはぁ…………もう一杯」
「腹をこわすよ!!」
「でも…」
「でも‥じゃない!」
『ハルカさん‥ハルカさん』
「何‥マコちゃん?」
『内田の落ち込みようが…』
「…よほど、おフロ場でヒドい目にあったのね」
内田‥かわいそうに…。
「おーーチアキ、早かったな…牛乳でもどうだ?」
「‥腹がたつよ!!」
 “ガシッ…!!”
「はうあ!?」
…おおう! な、なんて見事なアイアンクロー! リンゴもつぶせそうだぁ!!
「ち‥チアキっ! ギブギブ!! 顔が変形する!!」
「そのまま変形してしまえ! バカ野郎!!」
“ドタ‥ドタ‥ドタ…”
「いい湯だったよ〜」
「‥牛乳のサービスもあるんだ」
「フルーツ牛乳ないの?」
…どうやら、残りの連中も来たみたいだね。
「「寝ちまえよ!!」」
「…ねぇ、みんな‥どうしたの?」
「あのねぇ〜、カナちゃんが来た後にみんなで誰が一番大人か競争したの」
「そしたら‥2人が同じくらいで、どっちもビリになったんだよ」
え〜と……何の大きさだい?
「まったく‥2人とも、子どもな・ん・だ・か・ら?」
「うるさいよ! 負けた訳じゃあないんだ! たまたまへこんでたんだ!!」
「そうだよ! チアキちゃんの言う通りだよ!! 偶然なの、偶然!」
「またまたぁ〜、負け惜しみはカッコ悪いよ?」
「ぐっ……ね、ねえさまぁ〜〜〜!」
「あらあら‥よしよし…」
よっぽど悔しいんだな…めっちゃ泣いてるよ。ってか…
『なぁ‥おい、カナ姉』
「‥ん? どうしたマコちゃん」
『こいつら‥いったい何でもめてんの?』
「…はぁ。まったくもって、お前はピュアバカだな。あれだ…バカ通り越して天然だ」
『そ、そんな言い方無いじゃん!! それより、何なのさ!?』
「ったく……コレだよコレ」
…胸? ……………!!?
「カナちゃんカナちゃん! マコちゃんの顔色がいきなり真っ赤になったよ!?」
「なぁに…心配いらないさ。一つ大人に近づいただけだよ」
「…そうなの? な〜んだ」
「さて…そろそろ私もフロに入るか。1日の疲れを洗い流したいしな…」
「うぅ〜‥カナのイジワルぅ!!」
「ハハハハハ…、まぁ‥そこにもっと大人のハルカがいるだろう?
  大きくなる秘訣でも聞いてみたらどうだ?」
「!!」
「ちょ‥ちょっとカナ!! なんで私に振るのよ!」
「ハルカさん! なんでそんなに大きいんですか!!」
「えっ……え〜と…」
「ねえねえ吉野‥いつになく内田ちゃんたら、熱心だね」
「‥だって、自信満々で負けたんだもん」
「大きさなんて関係ないのにな」
「トウマ!! 一番のあんたが言っても説得力ないよ!」
「吉野も吉野だよ! そこらへん、友達ならフォローの一つくらいしてよ!!」
うっわ……やさぐれてる。何にでも噛みつきそうだね…こいつら。
「‥と・こ・ろ・で! ハルカさん、質問に答えて下さい!」
「う‥うん。! そうだ! マコちゃん、どう思う?」
なっ!? お‥俺、女じゃないからわかんないよ!! っていうか、ハルカさん逃げた!!
「うーーーーん…この際‥マコちゃんでも良いや」
おーい!!! 内田! お前、俺の正体知ってるくせに! やっぱバカだ!! うわ‥睨むな! 怖いよ!!
『ええと………』
どうする! どうする俺!! !? そうだ! 確か姉ちゃんの雑誌に…
『も‥も…』
「…も?」
『‥揉めば良いんじゃない?』
「…揉むの?」
『う‥うん…』
神様! いるなら助けて!!
「そうなんだ…」
…あれ? た、助かった?
「揉むのか‥そうか…」
「ちょっとマコちゃん! あなた何言って‥」
『でも…大きくても、後で不自由しないと…』
「そ‥それは…う〜ん…」
しまった…ハルカさんを困らせてしまった。なんてことを!!


〜就寝〜
 《「すー…ぐぅー…すやすや…」》
寝るか…色々面白かったなぁ。みんなそれぞれ面白話持ってたもんなぁ…。
“……ごそっ…ガシッ!”
『!? だ、誰だ? 急に人の手握って!」
「…ご、ごめん!」
……う…内田?
『な‥何してんの? こんな真夜中に』
「あ‥あのね‥さ、さっきはごめんね? 私‥その、慌ててて…」
…慌ててのレベルか、アレは?
「…で、その……あの…」
『…何? 言いたいことは、はっきり言わなきゃ伝わらないぜ?』
「…うん。お願いなんだけど…」
『いいから早く言えって! 何でもするから!』
「…ホント? じゃあ…」
“ぺとっ…”
……!!!!!!???
「その…自分でやるの難しかったから……手伝って?」
『え…ええっ?』
「ほら‥早く…」
『お…おう…』
“もみもみもみもみもみ…”
『ど…どう?』
 「なんか…変な感じ」
 …そ‥そんなもんなの?
 〜10分後〜
「…ペース落ちてきたよ。ほら、がんばって!」
手に力が入らないよ…おまけに眠いし。
「はぁ……はぁ…っ」
『内田? さっきから息荒いけど、大丈夫か?』
「えっ!? へ…へ〜きだよ! さぁ、続けて?」
“もみもみ…”
「あっ…んん……はぁ…っ」
声出すなんて…たいそう気持ちいいマッサージなんだな‥これ。
「お‥おかしくなっちゃうぅ……」
つーか…疲れた‥ついでに眠い…もう……ダメか…も。
“‥ぷにゅ”
「‥ひぃっ!? あっ‥あぁぁぁ……」
『…ZZZ』

 〜翌朝〜
「ほら、みんな! 朝だよ、起きな!!」
「う゛〜ん…」
「おはよ〜」
「ふわぁぁ…」
「…ねえねえ! みんな見て! マコちゃんの布団!」
「…あらら」
「マコちゃんたら、モテモテ〜♪」
「内田ちゃんたら、嬉しそうな顔してるね」
「…トウマもね」
「この3人‥どうしちゃう?」
「幸せそうだから‥もう少しこのままにしとこうか」
「…そうだね」
『ZZZ…』
「すぅ…すぅ…」
「くかー…くかー…」
[この後、マコちゃん始め3人は起床後大騒ぎするけど…それはまた別のお話]

おしまい


 〜おまけ就寝後『トウマ編』〜
 “ガバッ…ムクリ…”
「トイレ…」
“ザー…トテトテ…”
『うぅん…あれ? まくらどこいった? …無いな。仕方ないや…マコト、我慢しろよ…』
“ゴソゴソ…”
…マコトの布団の中‥あったかいな…最近寒いから嬉しいよ。
「ううん…愛してます…」
!! な‥何を言ってんだい!? 寝言?
「誓います……絶対…あなた………守ってみ…ます…」
…かっこいい事言うな…。 お、俺も守ってくれるのかな?
…コイツの隣にいると、何だか安心できるんだよなぁ。
……………今ならバレないよな?
『………ちゅっ』
…へへっ、気づいてなくても緊張するな。いよっし! 寝るぞぉ〜!!
「ふわぁ…」
あの雨の日からかな……俺がコイツを好きになったのは…。
あれは…偶然だったのか? いや‥必然だな…うん!! きっと‥いいや、ぜったいそうだな……。
『…………くかー…くかー…』

おまけ『トウマ編』おしまい

 

 

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