「おいバカ野郎」
日曜日の夕方の南家にチアキの呼ぶ声が聞こえる
「ふむ、何だね?」
「お前は私が前におかしな事について尋ねた時に、私よりは詳しそうだったじゃないか」
「ふむ、そうだね」
何だチアキは、まだそんな事が気になっていたのか・・・
「バカ野郎のお前が知っていて、私が知らないのは気に入らない。ちょっとおかしな事について教えてくれ」
おかしな事について教えてくれ・・・か。
おかしな事の意味を知っている人が聞いたなら、たまらんだろうな、その発言は
「む、何だ?その顔は、教えるのか?教えないのか?」
ん〜・・・とここで少し考え込む。
別に教える(というか実践する)のはかまわないが、もうすぐ買い物に行ったハルカが帰ってきてしまう。
今日は、少し離れたところにあるスーパーが特売日だったので、そっちに行ったらしいが
流石にそろそろ帰ってくるだろう。
そうなると少々やっかいな事になりかねない。
ん〜・・・どうしたものか・・・何か名案は・・・
そうだ!あの人なら詳しそうだし、何よりハルカの行動を制御できるかもしれない!
「よしわかった、教えてやろう。だが助っ人がいるので、その人を呼ぶから待っていたまえ」
「誰だ?その助っ人というのは?」
「それは秘密だよ、チアキ。それを言ったら面白くないだろう?」
「そんなものか?」
「そんなものだよ」
そうと決まれば早速電話だ。大晦日に教えてもらった携帯電話の番号をプッシュする
「はいは〜い」
という明るい声で電話にでたその人は、ハルカの高校の速水先輩だ。
早速計画を伝えることにする。
「南さん家のカナです。実はですね・・・ゴニョゴニョゴニョ」
「えぇ!?そ、それは面白そうだね!是非とも混ぜてほしいな!」
「わかってますよ、先輩にはハルカを・・・ゴニョゴニョ」
「ふふふ・・・わかってるねカナちゃん。じゃあ、アレも持っていったほうがいいかな?」
「そうですね、アレもお願いします。ところで、今はどこに?」
「ん?○○スーパーだけど、ちょうど今晩用のアレを買うところだったんだよね」
ハルカが行ったのと同じスーパーだ。
ふむ、だったらハルカよりも、先に来てもらったほうが良い。
「そのスーパーに、ハルカがいるはずなんですが、いますか?」
「え?ハルカがいるの?ん〜っと・・・あ、いたいた。連れてこようか?」
「いえ、ハルカにバレると厄介なので、それよりもハルカより先に家に来てください」
「それもそうだね、それじゃ今からいくよ」
ブツッという音で電話は切れた。
とりあえず、助っ人は頼めたな。ふふふ・・・
と、何げなく脇を見ると、チアキが何やら不安そうな顔になっている
「どうした、チアキ?不安そうな顔して?」
「ハルカ姉さまにバレると厄介だとか言っていたが?」
「ふむ、それはね。おかしな事の内容と関係しているのだよ。助っ人が来るまでは教えられないからね」
どうやら、その説明で納得してしまったらしく、「ふむ、そうか」と言って
私が電話中にしていたらしい読書に戻った。

――――――――――20分後――――――――――

ピンポーンの小気味良い音で、南家の呼び鈴が鳴らされたことを知る
呼び鈴を鳴らすということは、ハルカではない。助っ人か!?
そう思いチアキには、私が出る。といい玄関の扉を開けに向かった
ガチャリ
ドアを開けると、果たしてそこには助っ人の速水先輩がいた。
「おっす」
挨拶とともに掲げた袋には、アレが沢山入っている。
「ハルカに、あんなことやこんなことが出来ると思うと、買いすぎちゃって」
「ちょっと多すぎやしませんかね?」
「まぁまぁ、いいじゃない。それよりあがるよ?」
どうぞと言い、アレを受け取り中へ促す。
とりあえず、冷やしておかなければ。幸いにも、冷蔵庫にはまだ空きがあったはず。
そう思い、冷蔵庫へアレを入れにいく。
居間のほうをみると、速水先輩とチアキが挨拶をしていた、小学生なのに中々よくできたやつだ。
冷蔵庫にアレを入れ終わると、ちょうどハルカが帰ってきた。
「ただいま〜、あら?お客さん?」
ハルカに冷蔵庫を開けられる訳にはいかない、出迎えにいくか。
「そうだ、ちょっと私が呼んでな、それよりも私が冷蔵庫に入れてやるから食材をよこせ」
「カナが?珍しいわね、じゃあお願いね」
と言いスーパーの袋を預け、居間に入っていく
「速水先輩!?」と驚く声、「ちょっとカナちゃんに呼ばれてね」それに返す声。
そんな声を聞きながら、食材を冷蔵庫に入れ終わるとアレの準備を始めた。
アレ・・・・つまりお酒である。
大晦日の時は、二人とも最後は寝てしまったが、寝るまでには量も飲んでいたし、時間もかかっていた。
なので二人が酔っ払う程度のお酒を飲ませ、判断を失っている時にヤッてしまおうという作戦である。
我ながら完璧な作戦だな。そう思っていると、先輩から
「喉が渇いたな、カナちゃん飲み物持ってきて」という指示が下ったので、飲み物(酒)を持っていく
 

 

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