「ん…あれ?いつの間に寝てたんだ?」
「あ、起きた?」
放課後の教室。
HRも終わり、普通なら帰宅生は家に帰り、クラブ生は部活で汗を流している時間。
そんな時間にカナと藤岡、2人だけが教室に残っていた。
「藤岡?部活は?」
「ああ、一週間後から中間テストがあるから、今日から試験休みだよ。」
「ああ、そういえば先生がそういうこと言ってたような気がするよ…」
「うん、さっきのHRで言ってたよ。その後ぐらいから居眠りしたんじゃないかな?」
「そうか…」
・・・
沈黙。
5分ほど経ったころ、カナが口を開いた。
「なあ藤岡、前に私のことを好きと言ったじゃないか?」
「…うん、言ったね。」
「あれはどういう意味だったんだい?」
「?!・・・え〜と…オレが『すごい好きだから』って言ったのだよね?」
「そうだ。」
「そのまんまの意味なんだけど…」
「だから、私のことが女として好きと言ったのか、ただ単にスキだらけだと言ったのか、どっちなんだ?!」
カナが机を叩いて言う。
「え〜と、南のことが女として好きだってことだよ。」
「そ、そうか…」
・・・
再び沈黙。
「・・・藤岡は結構モテてるよな。付き合ったことはないのか?」
再びカナが沈黙を破った。
「うん、まあね。正直、女の子よりもサッカーだったんだ?」
「そうか。私も付き合ったことないぞ。同じだな!」
「はは、そうだね。」
「ははは・・・藤岡は今日は勉強するつもりなのか?」
そう問うカナの表情には、今までとは違う微かな変化があった。
「うん、そのつもりだけど・・・南はどうするの?」
微かな変化に気づいたのか、藤岡は言葉を返す。
「ああ、勉強しようと思うんだが・・・1人よりは2人のほうがいいと思わないか?」
 

 

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